蔡文姫：「あはっ、強くしてあげる！」
夏侯惇：「…ん？蔡文姫の、飛天の舞いか…？」
王異：「どういうことだ…？」
張遼：「二人とも、早く自城に退け！後はワシに任せろ！」
夏侯惇：「旦那、何言ってるんで…？」
張遼：「いいから、さっさと退け！」
王異：「は、はい！」
夏侯惇：「…ちっ、しゃあねぇな。ここは一旦、退くぜ！」
荀彧：「二人は自城で、兵力が回復するまでじっとしていてください」
夏侯惇：「あぁ、分かったよ」
王異：「やれやれ…天下に名高き名将も、とんだ分からず屋なのだな」
夏侯惇：「…あぁ？そりゃ一体、誰のことだよ」
王異：「誰って、あなたのことです！敵が槍兵で固めているというのに、そこへ突っ込むものがありますか！？」
夏侯惇：「そりゃ、一瞬ビビったけど、でも俺にだって考えの一つや二つ…」
王異：「二つも思いつくのなら、あそこで飛び込む以外の考えもあったはずでしょう」
夏侯惇：「うっ…」
王異：「まったく、周りのことを考えずに突っ込むのだから…心配する身にもなってもらいたいわ」
夏侯惇：「…王異？今、おまえ…」
王異：「…！わ、私が心配したのではない！その、じ、荀彧殿が…！」
荀彧：「二人とも、そろそろ出撃準備が整ったでしょう？早く出撃してください」
夏侯惇：「へ？お、おう！」
王異：「わ、分かりました、すぐに出ます！」
蔡文姫：「二人とも、仲がいいのか悪いのかぁ、て感じだね」
荀彧：「はははっ、蔡文姫殿は言葉上手ですな」
蔡文姫：「えへへ…」
張遼：「さて、これからが本番だな」
荀彧：「ええ。敵の動きは私が封じます。張遼殿、夏侯惇殿。お二人で、敵陣を一気に瓦解させてきてください」
夏侯惇：「…なるほど、そのための蔡文姫の舞い、て訳か」
王異：「王佐の才たる慧眼の持ち主…さすがは荀彧様」
夏侯惇：「おい、俺の活躍は見てないのか」
王異：「あなたの活躍は、これからでしょ？」
夏侯惇：「ちぇっ、言うねぇ…ま、言われたからには…」
張遼：「やるしかあるまい？進めぇー！！」
夏侯惇：「うおおっ、邪魔する奴には容赦しねぇぜ！」
ジャキーン、ジャキーン！
敵将：「くっ、ま、守れ！守りぬけ！」
夏侯惇：「甘いな、お前ら。今だ！」
敵兵Ａ：「ひっ…！？か、夏侯惇だぁっ！？」
敵将：「えぇい、退くな、退くでない！戦え！」
夏侯惇：「そういうアンタが、俺を止めてみな！！」
敵将：「くっ…お、おのれぇっ！！」
夏侯惇：「はっはーっ、この熱さたまらねぇっ！！」
ジャキーン、ジャキーン！
夏侯惇：「この程度じゃ左目の疼きが収まらねぇ！！」
敵将：「ぐはっ…！」
張遼：「夏侯惇！一気に攻め抜くぞ！」
夏侯惇：「おっしゃあっ、やっちまえ！！」
王異：「こら、また勝手な…！」
荀彧：「王異殿、私達も上がりましょう。あの者が、勝手に暴れぬようにね」
王異：「…仕方あるまい。歯止めをかけるのも、また重要な役目であろう」
夏侯惇：「どうしたぁっ、止めてみやがれ！」
王異：「…こら」
夏侯惇：「あ、王異？おまえ、なんで…」
王異：「なんでじゃない！まったく、また自分勝手に突っ込むんだから…」
夏侯惇：「ま、いいじゃねぇか。敵も叩き伏せたことだしよ」
王異：「人の心配とか、気にかけなさいよ…」
夏侯惇：「…あ？なんか言ったか？」
王異：「何でもありません。ほら、城門から離れない！」
夏侯惇：「お、おうっ！」
ドーン！
夏侯惇：「なんだか物足りねぇなぁ、オイ！」
王異：「余計な事言ってないの」
ギュウウウ…
夏侯惇：「い、いてて、耳引っ張るなよ！？」
張遼：「やれやれ、お似合いなんだかどうだか」
荀彧：「ケンカするほど仲良きことかな。これで良いのでしょう」
張遼：「フッ、それもそうか。さて、帰るかな」
夏侯惇：「あ、旦那、待ってくれよ！」
王異：「こら、人の話は最後まで聞きなさい！」
夏侯惇：「でもよ、もう戻るって…」
王異：「人を無視するなんて、あなたには百年早いの！ほら、言うこと聞く！」
夏侯惇：「だから、説教は帰ってからちゃんと聞くからよ…」
王異：「そう言って逃げるつもりでしょう？先は読めているんだから、大人しくなさい！」
夏侯惇：「いや、だから…お、おい！先に帰るなよ、旦那！」
張遼：「お主はしばらく、そこでそうしておれ」
荀彧：「先に戻っていますから、ごゆるりと」
蔡文姫：「じゃーねー！先に行ってるよ～！」
夏侯惇：「じゃーねじゃねぇっ！先に行くんじゃねぇよ！」
王異：「こら！またそうやって逃げようとする！」
夏侯惇：「そうじゃねぇって、いい加減分かってくれよ！！」
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